サザエさんのオリジナル漫画をもとに、掲載当時の世相を振り返る朝日新聞土曜版beの連載「サザエさんをさがして」。今回は1965(昭和40)年2月掲載の漫画を題材に、動物園の入園料について考えてみました。入園料値上げに不満そうな波平。そのわけとは――。
入園料「ばいになるからな」とこぼす波平
どこかの動物園のようだ。ゾウが芸をさせられている。飼育員とみられる男性がゾウに頭をさげさせようと、「もっとふかーく」とうながす。
様子を見ていた波平、ワカメ、タラちゃんの3人。波平が「にゅうじょう料がばいになるからな」と言い残し、その場をあとにする。
波平は、動物園の入園料が値上げされるから、ゾウに深く頭をさげさせ、お願いまたはおわびさせている――とでも受け取ったのだろう。対して飼育員の男性は「ごかいだ~」と叫ぶ。
だが、「誤解」とは言い切れない事実がある。漫画の掲載は1965(昭和40)年2月。実はこの年1月30日、東京都が都立高校の授業料などとともに、上野動物園の入園料を4月から値上げする案を発表しているのだ。
しかも大人50円だったものを100円に。一気に倍だ。
東京都にとっての上野「ドル箱のような存在」だった
翌31日付の朝日新聞朝刊は…